コラム

「円安と不動産投資|為替変動と景気から探る不動産戦略」

2022年1020日に1ドル150円まで値上がりした為替市場。
ここまで円安が進んだのは32年ぶりのことで、不動産投資を行っている、またはこれから行おうとしている人の中には円安が不動産投資に与える影響について気になった人も多いのではないでしょうか。

この記事では、円安と不動産投資にどのような関係があるのか円高転換時における重要なポイント為替変動と景気から探る不動産戦略などを解説します。

1. 円安と不動産投資の関係性

為替変動は輸出や輸入に関係があることなので、不動産投資には関係ないと考えている人も多いと思います。しかし、グローバル化が進行した昨今では、海外投資家が日本への投資を容易に行えるようになっており、為替変動が不動産投資に影響を与えるようになりました。

昨今の円安は、不動産投資にとってプラスの要因だけでなくマイナスの要因にもなるため、為替変動が不動産投資にどのような影響を与えるのかを把握しておくことが大切です。

円安が不動産投資に与える影響として、以下の4つが挙げられます。


・建築費の高騰

・外国資本の流入増加

・物価高による需要の変化

・資産の分散


それぞれについて詳しく見ていきましょう。

建築費の高騰

為替変動における円安とは、1ドル100円であったものが200円になるといったように円の価値が下がり、ドルの価値が上がるという状況です。

例えば、1ドル100円の時に1万ドルの建築資材を海外から仕入れる場合には、100万円の費用がかかります。一方、円安により1ドル200円になった場合には、資材を仕入れるのに2倍の200万円が必要です。

為替相場が円安になるということは建築費の高騰、新築住宅の価格が上昇を意味するため、新築住宅市場にとってはマイナスです。しかし、中古住宅市場にとっては新築住宅と比べて安価に住宅を取得できるという理由から需要が高まるため、価格上昇の要因となります。

外国資本の流入増加

円安は円の価値が下がり、外貨の価値が上がる状況で、日本人が海外の商品を購入する際に以前と比べて多くの資金が必要になるということが分かりました。では、海外の人が日本の商品を購入する場合はどうなるのでしょうか。

1ドル100円の状況で1万ドルを日本円に換金すると100万円、200円の状況で換金すると200万円となります。つまり、外国の方にとっては同じ外貨で交換できる円が多くなる、日本の商品やサービスを安く購入・利用できるということです。

円安の状況下では、割安となる日本の金融商品に外国資本が流入しやすくなるため、株式や不動産価格などの上昇要因となります。

物価高による需要の変化

円安はインフレになりやすく、インフレの状況下では、物価・給与・金利の上昇を伴うのが一般的です。

しかし、昨今のインフレは給与・金利の上昇を伴っておらず、物価だけが上昇しているので国民にとっては生活が厳しい状態となっています。

そのため、積極的な新築住宅の購入は基本的に期待できない一方で、中古物件や賃料の安い物件の需要が高まりやすい傾向があります。

結果的に中古物件の価格上昇、賃料の安い物件の入居率上昇などが期待できるでしょう。

資産の分散

円安は円の価値が下がり、モノの価値が上がる状況とも言われています。額面上は同じでも円の資産価値が目減りするということです。

円安が進行した場合は円の資産価値の目減りが進行することになるため、円を資産価値が変化しない現物資産(金や不動産)や外貨建て金融商品(株式や債券)に交換して、資産を分散しようとする人が増えます。

金は価格が上昇した場合に売却益を得られますが、利息や配当金のように所有するだけで継続的な利益を得るということはできません。

一方で、不動産は価格が上昇した場合の売却益だけでなく、家賃収入による継続的な利益が期待できます。円安は不動産需要を高めるため、価格の上昇要因となります。

2. 円高転換時における重要なポイント

円安によって外国資本の流入増加や資本の分散などが引き起こされるため、不動産投資に円安は比較的プラスに働くと言えます。

では、円高は不動産投資にとってどのように働くのでしょうか。円高が不動産投資に与える影響として、以下の3つが挙げられます。


・新築需要の上昇

・外国資本の撤退

・デフレによる不動産価格の下落


それぞれを詳しく説明していきます。

新築需要の上昇

円安は原材料費の高騰による新築住宅の価格高騰を引き起こすため、新築需要が低下する要因となりました。

一方、円高は原材料費の下落による新築住宅の価格下落を引き起こすため、円安時と比べて円高時の方が安価に新築住宅を手に入れることができます。

新築需要が上昇するということは中古需要が低下するということなので、供給過多による中古住宅市場の価格下落の要因となる可能性があります。

安価に新築住宅を建築しやすくなった、中古住宅市場の価格下落は、これから不動産投資を始める人にとってはプラスです。

一方、新築住宅を手に入れやすくなったことで賃貸住宅からマイホームに切り替える人が増加、賃貸需要の低下で不動産投資が軟調になる可能性があるという点に注意が必要です。

外国資本の撤退

円安の状況下では、日本のモノが割安になるため、外国資本が流入しやすいですが、円高の状況下では、外国資本が撤退しやすくなるので注意が必要です。

例えば、1ドル100円の時に1億円の物件を購入した場合、用意するのは100万ドルです。仮に円高で1ドル50円になった場合、物件の価値をドル換算すると200万ドルとなります。つまり、購入時の資産が倍に増えたことになるのです。

円安は日本のモノが割安になる一方、円高は日本のモノが割高になるため、円ベースの金融資産を保有していた外国人投資家は利益確定売りを選択する可能性が高いです。

利益確定売りは不動産価格下落の要因となります。不動産価格下落は不動産投資を始める人にとってプラスですが、既に不動産投資を行っている人にとってはマイナスとなるので注意してください。

デフレによる不動産価値の下落

円安はインフレになりやすい一方、円高はデフレになりやすいと言われています。デフレは円の価値が上がり、モノの価値が下がるという状況です。

インフレは景気の上昇、デフレは景気の後退時に引き起こされるものです。不動産の価格は景気の影響を受けやすく、上昇時には価格が上昇、後退時には価格が下落します。

そのため、デフレの状況下では不動産価格が下落するため、不動産投資をこれから開始する人には有利ですが、売却を検討している人には不利であることを理解しておきましょう。

3. 為替変動と景気から探る不動産投資戦略

不動産投資を長期的な資産運用として考えている人も多いと思いますが、必ずしも長期で運用することが正解とは言えません。資産運用は資産をどれだけ増やせるかが重要なので、利益を最大化できるタイミングで売却するのも選択肢の1つです。

円安の昨今は、不動産価格が最も高くなりやすく、利益を最大化できる可能性が高いため、来るべきに備えて不動産投資戦略を練っておくことが重要と言えるでしょう。

不動産投資戦略を立てる上で重要な為替変動と景気の今後について考えてみましょう。

日銀総裁退任による政策転換の可能性

日銀は20233月に現体制で最後の金融政策決定会合を行います。その後の319日に副総裁の任期満了、翌月48に総裁の任期満了を迎えます。

「異次元の金融緩和」と言われた現体制は10年目を迎えました。任期満了後の新体制では金融政策の修正が期待されています。

ローン金利を引き下げる金融緩和は不動産投資にとってプラスでしたが、金融緩和による成果があまり見られなかったこと、アメリカが金融引き締めに入ったことから、新体制ではローンの金利を引き上げる可能性があります。

ローン金利の上昇は不動産投資にとって大きなマイナスです。不動産投資を徹底する人が増えて供給過多の状態になった場合、物件価格が大幅に下落する可能性があるので注意が必要です。

有事のドル買いの終焉

「有事のドル買い」という言葉を聞いたことがある人も多いと思います。これは世界情勢に不安を抱く人が増えた場合、世界的に安定した価値を有するドルが買われることによって円安になりやすいことを意味しています。

現在はロシアとウクライナの問題で有事のドル買いとなっていますが、問題が解決すれば円高・物価安に転換する可能性が高いです。

円高に転換することは、利益確定売りによる外国資本の撤退、新築住宅の価格の下落による需要上昇で中古不動産の価格の下落を引き起こす可能性があるので注意してください。

4. まとめ

32年ぶりの円安で日常生活を取り巻く環境が大きく変化しています。円安は物価の上昇や外国資本の流入、資産の分散などを引き起こすので不動産投資にとってプラスとなります。

そのため、現在不動産投資を行っている人にとっては追い風となりますが、円安から円高に転換した場合には円高が外国資本の撤退、デフレによる不動産価格の下落を引き起こして不動産価格が大幅に下落する可能性があるので注意が必要です。

不動産投資で重要なのは常にリスクを抑えながら利益を最大限に増やしていくことです。不動産投資は為替や景気の影響を受けるため、今後どうなるのか考えながら状況に応じた不動産投資戦略を立てていきましょう。

為替変動が円高に転じて外国資本が撤退する恐れが高まった場合、速やかな不動産売却が求められます。

そのような利益確定売りによる相場の崩れに対して速やかに所有不動産を売却したい人は、独自ネットワークでスピーディーな売却が可能なオメガエステートにぜひご相談ください。

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