コラム
「不動産投資における理想の利回りとは?利回りの計算方法を解説」
不動産投資を始める際は物件の立地条件や築年数などのさまざまなポイントから運用する物件を決定します。
投資に適した物件かどうかを判断する資料の1つに利回りがありますが、理想の利回りがどのくらいなのか気になっている方も多いのではないでしょうか?
この記事では、不動産投資における理想の利回りはどのくらいなのか、利回りの計算方法も解説します。
1. 利回りの種類
不動産投資や金投資などの実物資産への投資は、株式投資やFXなどの資産運用と比べると資産の価格が安定しているのでリスクが低めと言えます。
しかし、実物資産への投資は、リスクが低めと言っても元本保証というわけではないため、リスク管理を徹底しながら臨む必要があります。
不動産投資の場合は最初の物件選びが収支に大きな影響を与えるため、物件選びを慎重に行わなくてはなりません。そこで重要なのが利回りです。
不動産投資の利回りとはどのようなものなのかについて詳しく見ていきましょう。
利回りとは
利回りとは、賃貸物件の収益性の高さを判断する際に用いられる指標です。例えば、利回り10%の物件は10年で100%となるため、投資金額を10年で回収できることを意味します。
一方、利回り5%の物件は100%を達成するのに20年かかるので、投資効率という点では利回り5%の物件よりも利回り10%の方が高いです。
ただし、利回りは表面利回りと実質利回りの2種類あり、広告に記載されている利回りが表面利回りだった場合、必ずしも投資効率が良いとは言い切れないので注意してください。
表面利回り
表面利回りとは、物件購入にかかった費用と購入時点の年間の家賃収入から導き出される利回りです。
表面利回りは「年間の家賃収入÷物件購入にかかった費用×100」で算出します。
例えば、以下のような条件の物件の利回りをシミュレーションしてみましょう。
・1か月あたりの家賃収入50万円(年間600万円)
・物件購入にかかった費用1億円
上記の物件の利回りは「600万円÷1億円×100=6%」です。
表面利回りからは、この物件に購入・運用した場合、投資金額に対し年間6%の家賃収入が期待できることが分かります。
実質利回り
実質利回りとは、物件購入にかかった費用と家賃収入からコスト(経費)を差し引いて導き出される利回りです。
実質利回りは「実収入(年間の家賃収入-経費)÷物件購入にかかった費用×100」で算出します。
例えば、以下のような条件の物件の利回りをシミュレーションしてみましょう。
・1か月あたりの家賃収入50万円(年間600万円)
・直近1年の維持コスト300万円
・物件購入にかかった費用1億円
上記の物件の利回りは「(600万円-300万円)÷1億円×100=3%」です。
実際に手元に残る費用が分かるので、実質利回りの方が表面利回りよりも物件の収益性を詳しく知ることができます。
例えば、上記物件は実質利回りがプラスなので特に問題ありませんが、表面利回りがプラス、実質利回りがマイナスの物件は、賃貸経営を継続するにあたり毎年持ち出しが生じるので注意してください。
不動産会社が提示するのは基本的に表面利回りなので、自分で実質利回りがどのくらいか問い合わせる必要があります。
購入時の経費と年間の経費
不動産投資を始める際、初期費用がどのくらいかかるのか理解するために購入時にかかる経費、キャッシュフローを安定させるために経営維持のためにかかる年間の経費について事前に把握しておくことが大切です。
それぞれの主な経費は以下の通りです。
【購入時の経費】
・仲介手数料
・登録免許税
・印紙税
・司法書士報酬
・火災保険、地震保険料
・不動産ローン事務手数料
・団体信用生命保険料
【年間の経費】
・管理委託費
・消耗品費
・通信費
・水道光熱費
・修繕費
・借入金利子
・租税公課(固定資産税や都市計画税など)
・火災保険、地震保険料
空室リスクに注意
空室リスクとは、空室によって想定通りの家賃収入が得られないリスクです。表面利回りや実質利回りが十分にプラスであれば問題ありませんが、ギリギリプラスの物件の場合には空室に耐えられず赤字経営に陥るリスクが高いです。
そのため、安定した不動産投資を行うためにも、需要が安定して期待できる物件かどうか、何室くらいまでの空室に耐えられるのかを購入前に確認しておくことをおすすめします。
2. 理想の利回り
物件の利回りは高い方が良いですが、地域または物件によって投資すべき利回りの水準が大きく異なるので注意してください。
そのため、物件購入での失敗を未然に防ぐために、地域別・物件別の利回りの相場を事前に把握しておくことが大切です。
不動産投資と収益物件情報をまとめている健美家のマンスリーレポート(2022年5月)を参考に、3つの区分における利回りの概況を見ていきましょう。
区分マンションの利回り
地域別 |
利回り(%) |
---|---|
全国 |
7.59 |
北海道 |
11.74 |
東北 |
13.59 |
首都圏 |
6.91 |
信州・北陸 |
15.25 |
東海 |
8.83 |
関西 |
7.81 |
中国・四国 |
13.29 |
九州・沖縄 |
10.04 |
区分マンションは駅からの距離が近い、コンビニやドラッグストアといった利便性の高い施設から近く立地条件が優れているケースが多く、他の物件より空室リスクを抑えられる可能性が高いです。
また、最終的に投資用不動産としてではなく居住用不動産として売却できるため、安定した賃貸経営が期待できます。
しかし、物件価格に共用部分(エレベーター設備、エントランスホールなど)の建築費用が上乗せされているので1㎡あたりの投資費用が高くなります。
そのため、収益性・投資効率という点では他の物件よりも低くなるケースが多く、基本的に1室だけの運用となり、空室リスクが高いという点に注意してください。
一棟アパートの利回り
地域別 |
利回り(%) |
---|---|
全国 |
8.42 |
北海道 |
11.08 |
東北 |
13.20 |
首都圏 |
8.08 |
信州・北陸 |
13.92 |
東海 |
9.68 |
関西 |
8.90 |
中国・四国 |
11.20 |
九州・沖縄 |
8.82 |
一棟アパートの場合、区分マンションのように1室だけの運用ではありません。そのため、余程のことがない限り、空室によって家賃収入が全くなくなるということはないことから、空室リスクは区分マンションよりも低めです。
一棟マンションと比較すると一棟アパートは構造が木造であることが多く、建築コストを抑えられるため、利回りが高くなる傾向があります。
初期費用を抑えたい、高利回りで運用したいという方には一棟アパートが向いています。
一棟マンションの利回り
地域別 |
利回り(%) |
---|---|
全国 |
7.87 |
北海道 |
8.53 |
東北 |
9.98 |
首都圏 |
7.21 |
信州・北陸 |
14.06 |
東海 |
9.15 |
関西 |
8.37 |
中国・四国 |
11.51 |
九州・沖縄 |
8.98 |
一棟マンションも一棟アパートと同様に、空室リスクが低めです。また、一棟マンションは鉄筋コンクリート造で頑丈であることから、自然災害リスクが低いという理由から需要が高いと言えます。
しかし、鉄筋コンクリート造は建築コストの高いため、物件価格は一棟アパートと比べると高額になりがちです。その結果、一棟マンションの利回りは、一棟アパートよりも低くなる傾向があります。
一棟アパートと一棟マンションのどちらを選択するかは判断が難しいため、不動産会社に事前に相談することをおすすめします。
3. 利回りが低くても購入すべき物件の条件
不動産投資を始めようとしている方の多くは、利回りが低い物件を避けていると思います。しかし、利回りが低い物件の中には掘り出し物の物件も多いので注意が必要です。
例えば、立地条件の優れた物件は地価が高く、利回りが低くなります。しかし、このような物件は物件価格が下落しにくいので、ある程度運用してから売却することによりトータル収支をプラスに導きやすいです。また、需要が高いので空室リスクを抑えられます。
一方で、中古物件で実質利回りが低い場合でも、適切な修繕が実施されていれば、購入後のランニングコストがかかりにくいです。結果的に以降のランニングコストを抑えることで利回りの低さをカバーできます。
上記のような物件は、利回りが低くても購入後に安定した賃貸経営が期待できることから、利回りが低くても購入すべき物件と言えるでしょう。
4. 低利回り物件を高利回り物件に変える工夫
利回りの高い物件は収益性が高く投資効率が良いことから、不動産市場からは条件の良い高利回りの物件ほどすぐに成約してしまいます。
そのため、不動産市場に低利回りの物件しか残っておらず、良い物件を見つけるのが困難で諦めかけている方も多いと思います。
しかし、ちょっとした工夫によって低利回り物件を高利回り物件に変えることが可能です。
例えば、表面利回りの低い物件でも、低金利、長期返済のローンを組むことができた場合、年間のコストを抑えることで、利回りの向上、キャッシュフローの安定化が可能です。
反対に築年数が経過していて表面利回りが高くなっている物件は、築年数の経過が原因でローンを組む際の融資条件が悪くなる(金利が高い、返済期間が短い)可能性があります。
その結果、ランニングコストが増加して実質利回りが低くなる、キャッシュフローの悪化で賃貸経営の継続が困難になる可能性もあるので注意してください。
利回りだけで物件を選ぶのではなく、総合的に判断しましょう。
5. オメガエステートにお任せください
物件選びの指標として利回りを用いる方が多いと思いますが、利回りは表面利回りと実質利回りの2種類あり、広告にどちらが記載されているのかによって物件の収益性が大きく異なるので注意してください。
広告に記載されているのはほぼ表面利回りで、ランニングコストが考慮されていないため、実際の収支を表す実質利回りを把握しておくことが大切です。
また、物件を選ぶ際は利回りが高いかどうかだけを意識するのではなく、トータルの収支を意識することも重要です。
立地条件や築年数、融資条件などを総合的に踏まえながら不動産投資を開始しましょう。
不動産投資の経験が少ない方が独断で物件を選ぶのは危険です。不動産投資に興味がある、専門家のアドバイスが欲しい方は、実績豊富なオメガエステートにお任せください。